NPO法人 IBDネットワーク

このサイトは潰瘍性大腸炎とクローン病の患者会の全国組織である、NPO法人IBDネットワークがNPO法人健康と病いの語りディペックスジャパンの許可を得て作成したものです

トップ

潰瘍性大腸炎の語り

KT-13 プロフィール

診断時60歳、インタビュー時89歳(2017年1月)男性 関東地方在住 発病から10年くらいは大変だったが、主治医の治療方針で、入院も手術もせず仕事を続けながら内科治療だけで寛解に至り、現在では完治したと思っている。現在は家内と二人暮らし。

この人のプロフィールに戻る



 それから肛門 科のほうではやはりある程度食事の制限なんかも言われたんですけれど、横浜市大のほうでは潰瘍性大腸炎に関しては、食事の制限というのは原則として無いんですということで、サプリメントとかそういったものに惑わされないでなるべく普通の食事から栄養を取って、ただでさえ出血とかあるわけだから普通の人以上に栄養をきちっと取らなきゃいけないということで、ほとんどいわゆる食事制限というのは無しできたというのが現在の私の寛解を維持して、もう私自分ではもう完治していると思っておりますし、現在の私があるものと思っています。
Q.食事は制 限はないよとお医者さんに言われてなんでも召し上がってたということなんですけれど、これを食べると調子悪いとか、調子が逆に良くなるとか、そういったような食べ物とかは特にありましたか。
A.そうですね、あんまりなかったですね。先生はとにかく調子さえよければ、なんでもいいですよということで、カキフライなんてものは私が好きだったので、「カキフライどうですか」って言ったら、「食べてみてだめなら止めればいいし、調子のいい時は美味しいと思ったら食べていいよ」と、あるいはアルコールに関しても多少出血している時でも、私はテニスをやっていたんですけれど、帰ってきてシャワーを浴びてビールが美味しいというんであれば飲んでもいいですよというようなことを先生は言ってくださって、そういうことがいわゆるその病気からくるストレスがなかったというか、そういう点では助かったんじゃないかと思っています。

QS-3 プロフィール

診断時28歳、インタビュー時51歳(2012年7月)九州地方在住。寛解と再燃を繰り返しながら、3回の入院を含め長年にわたる内科治療をしている。潰瘍性大腸炎そのものでは、発病したときは全大腸炎型でかなり重症だったが、その後はそれほど重症になったことはない。しかし合併症としての関節炎や免疫抑制剤の副作用としての歯周炎などがひどい。職業は獣医師。独身。

この人のプロフィールに戻る


 食べ物では確かに気を遣い、体調が悪い時は気を使いますけど、良かったら、普通よくないって言われているラーメンとかカレーでもケーキでもバターでもなんでも食べます。但し、間隔は慣れてくると置くようにはしてますね。そうすれば制限もなく楽しく生活できますね。
Q:今は調子が悪い時だけ食事を気を付けられて普段はそんなに制限がない生活っていう感じで過ごしていらっしゃる。
 そうですね、今は殆ど食べ物で、ただ油ものは少なくするようにっていうのは気を付けていますけど、ひどい時には1年間本当に納豆、豆乳、豆腐、それだけで過ごしたことも有ります。その時は体調よかったですよね。だから食べ物の制限は確かに効くんだけど若い人にそれは無理ですもんね。

QS-2 プロフィール

診断時、31歳 インタビュー時歳49歳(2012年7月)九州在住。行政の嘱託員。発病は31歳の時。大腸検査でふさがっているところがあり、32歳で始めての手術。約10年後に再発2回目の手術。翌年に入って3回目の手術で大腸を全摘した。一時(3ヶ月)ストーマをつけたが、現在はクローズド(閉じている)。家族は母、妻、犬4匹、猫1匹。

この人のプロフィールに戻る


 どうゆう病気だなというのは理解は、妻の方はして今後これに対処していくんだなあというふうに思ったみたいです。で、私の方は、本の情報であったりとか病院の先生から話を聞いたりとかして少しづつ理解を深めていったという感じです。家族は、母親はいるんですけど、全然そういう意味がわからないので特別説明もしておりませんし、難しい病気なんだということを今言っても全然わからないということもあるので、母親の方は最近認知症ってこともでてきたので、逆にこっちが気を使ってやっているということで、母親の方はもう全然僕の病気に関しては熟知してはおりません。
Q:奥様の方はよく理解されているということなんですけれど、奥様は病気のことに関してどんなサポートをしていただいているのでしょうか。
 サポートは、特にですね最初の病気をしたときからの約10年間近くというのは、やっぱり食事面のとこを気にしてですね、食べちゃいけないものというのが、こういうの、こういうのとありましたので、そういうのをできるだけ最初から避けた形で準備、食材の買い付けとか考えてやってましたね。私の方も一応こういうの危ないなと思うのは、最初から避けて、外食するにしても、例えば定食とかにしても、これは食べたら危ないなと思ったら全部妻の方に渡して、妻の方で僕の方が食べられそうなものをもらったりして、で色々調節しながら、お互いの協力してくれたのですごく最初の期間というのは大分助かったと思います。その後はある程度自分で管理できるというか、わかっているので、えー妻の方は特別は口を出さなくても自分で管理できるような形にしてますので。今は、たまに声をかけてれるくらいですかね。「だいじょうぶ」ってことで。その程度ですね、今は。

QS-2 プロフィール

診断時、31歳 インタビュー時歳49歳(2012年7月)九州在住。行政の嘱託員。発病は31歳の時。大腸検査でふさがっているところがあり、32歳で始めての手術。約10年後に再発2回目の手術。翌年に入って3回目の手術で大腸を全摘した。一時(3ヶ月)ストーマをつけたが、現在はクローズド(閉じている)。家族は母、妻、犬4匹、猫1匹。

この人のプロフィールに戻る


 食生活で言いますと、まあ仕事を私やっていますけども月曜から金曜までの仕事の日というのは朝・昼・晩、経口の補助食品のみか、パン1枚とか卵1個を食べる、1日ですね、くらいですね。1日1500キロカロリーくらいで済ませています。で土日だけ、土日のお昼だけ解禁日にして、普通の食事を取る、でないと夜の排便で苦しむんですよ。痛みとか、何回もトイレに起きたりとか、基本的には2時間に1回はトイレに行かないといけないという状況なので。平日はなるべくトイレの回数が増えないようにという対策で、そういう過ごしたかたをすることによって日常生活が維持できるかなと、維持できる方法を自分でさがしてやっています。

KT-12 プロフィール

診断時54歳、インタビュー時71歳(2016年4月)男性 関東地方在住 一度再燃したが薬物治療と食事療法により寛解(無症状、本人は「全治」と自己診断)が続いている。妻と娘夫婦とその子供二人の6人家族。
医療法人財団 健和会 臨床・社会薬学研究所所長 片平冽彦(インタビュー時の所属。保健学博士【東京大学大学院医学系研究科】

この人のプロフィールに戻る



Q:先生のお考えになっていることを臨床的に、統計的に出されたことはあるのでしょうか。
 私一人が良くなったんじゃ申し訳ないということで、実はこの研究はですね、お名前出して構わないと思うんですが、慈恵医大の消化器内科の先生方といろいろ共同研究をさせていただいて、それでその先生方は栄養士とタイアップして、協力して食事療法を中心として患者さんを治療すると、薬物(医薬品)も勿論使われていると思いますけれど、そういう特に食事改善に力点をおいて治療するという医療を行っているんですね。
 私も患者としてもお世話になりましたし、研究を是非進めたいということで共同研究をさせていただいて、その結果を先生方がまとめたものがありますけれど、文献を調べてみますとそういう研究が全然されていなかったものですから、潰瘍性大腸炎の原因として食生活の、油のバランスというのが国際的な著名な雑誌には全然出ていなかったんです。ウィルス説とかですね、ほかの原因のことがいっぱい書いてあるという状態だったんですね。ところがそれを、その先生方の実践で得られた結果、データをこうやって英語の論文を書かれましたら、掲載されてそれが非常に国際的に反響を巻き起こしている、そういうことがある。これらの論文では私も(多少お手伝いをしたので)連名に加えていただいたんですけれど、私は医師ではありませんので、患者さんの治療はしていないんですが、こういう研究をするときはコントロール、対照群と言いまして患者さんを調べるとともに、それと比較するということで対照群、健康な人と比較するということが大事なので、健康な人で検査を受けてもらう人を探して病院に紹介するという役割をしまして、そういう点から連名にして頂いたということです 。
(編集者注)当サイトは特定の薬や治療法を推奨するものではありませんので、ここで片平氏が述べた食事療法についてもその有効性を保証したり、推奨したりするものではありません。

KT-12 プロフィール

診断時54歳、インタビュー時71歳(2016年4月)男性 関東地方在住 一度再燃したが薬物治療と食事療法により寛解(無症状、本人は「全治」と自己診断)が続いている。妻と娘夫婦とその子供二人の6人家族。
医療法人財団 健和会 臨床・社会薬学研究所所長 片平冽彦(インタビュー時の所属。保健学博士【東京大学大学院医学系研究科】

この人のプロフィールに戻る



Q:今のお話を伺っていて、先生は今油に注目してお話をされたんですが、食材という観点からは、こういうものは良いとか悪いとかいうものはないんですか。
 具体的にその比が「日本食品成分表」というのに出ているんですね。それで私から(その数値から)見て良い食品、食べ物というのは海産物、魚、特に青魚を中心とする海産物ですね。それから野菜類ですね。そうしたものが比としてはいいんです。それに対して肉類ですね、肉類などは結構逆なんですね。それから食用油、リノール酸系の食用油を使った食べ物というのは非常にアレルギーとかこうしたIBDのような病気を増やす方に作用しているんじゃないかということです。
 実は、このことを経験して、研究もして、テレビでお話したかったんですが、テレビはどうも「御法度」のようです。つまり(関連食品の)広告をバンバン出していますよね、そういう関係の食品の、そうしたものを多く摂らない方がいいという話はテレビ局にとって具合が悪いことなので、ストップになりました 。そのときは。
(編集者注)当サイトは特定の薬や治療法を推奨するものではありませんので、ここで片平氏が述べた食事療法についてもその有効性を保証したり、推奨したりするものではありません。

KT-12 プロフィール

診断時54歳、インタビュー時71歳(2016年4月)男性 関東地方在住 一度再燃したが薬物治療と食事療法により寛解(無症状、本人は「全治」と自己診断)が続いている。妻と娘夫婦とその子供二人の6人家族。
医療法人財団 健和会 臨床・社会薬学研究所所長 片平冽彦(インタビュー時の所属。保健学博士【東京大学大学院医学系研究科】

この人のプロフィールに戻る



 具体的には脂肪酸バランスと言っていますが、この比を測定する検査を健康保険に取り入れていく。そうすると医療(の場)で盛んにおこなわれるようになりますので、検査を促進するようにすべきだと言ったんですが、現在までは一部の病名で保険適用になっていますが、部分的なのでどうしても患者負担、あるいは医療機関の負担になるということなのであまり行われていないです。それから、比の測定検査を健康診断項目に入れたらこれはすごいことだなと、世の中すごく変わっちゃうんじゃないかなと思ったんですが、病人が大幅に減るんじゃないかと思ったんですけどね。そうなっていないですね。
 それから病院給食を改善するということ。具体的には病院給食でオメガ6を減らしてオメガ3を増やすような食事を出すということによって、患者さんに良い影響を与える、特に心血管系の病気の場合ですね。それからアレルギー性(疾患)の場合だとか。それから薬局で薬剤師が服薬指導をする場合にそういう関係の病気の人に対しては食生活も改善するようにアドバイスしたほうが良いということです。このへんは先ほどの奥山先生も盛んに強調されていることなんですけれど。そういうことを世の中全体として心がけるようにしたら日本人は、長生きするようになったということですけれど、しかし「健康で長生き」ということになっていないですね。結構「病気で長生き」という状態になっているのは非常に本人にも辛いし、周りの家族も辛いわけなんで、その点を健康で長生きするような社会に変えていくということが必要で、そのために非常に重要なポイントではないかなと私は思っています 。
(編集者注)当サイトは特定の薬や治療法を推奨するものではありませんので、ここで片平氏が述べた食事療法についてもその有効性を保証したり、推奨したりするものではありません。

KT-12 プロフィール

診断時54歳、インタビュー時71歳(2016年4月)男性 関東地方在住 一度再燃したが薬物治療と食事療法により寛解(無症状、本人は「全治」と自己診断)が続いている。妻と娘夫婦とその子供二人の6人家族。
医療法人財団 健和会 臨床・社会薬学研究所所長 片平冽彦(インタビュー時の所属。保健学博士【東京大学大学院医学系研究科】

この人のプロフィールに戻る



 これはこの研究についていろいろご指導頂いた奥山治美先生という名古屋の薬学の先生がご本(注1)に書いておられるものでそれを私も真似をして実践しているということです。それでお寿司を含めて魚はほぼ毎日食べました。今でもそのような食生活を続けています。その結果先ほどお話したように食生活を改善して、病状が良くなってきてその経過をここにまとめたんですけれど、非常にびっくりしたんですが、それまでアレルギー性鼻炎の治療を減感作療法という治療法で受けていたんですが、もう良くなっちゃって、それを受ける必要がなくなっちゃたんです。これはびっくりしました。
 それからこの比がオメガ6とオメガ3の比で、検査の数値なんですけれど、1対1に近づいた。(図2)これは棒グラフで絶対値では非常にでこぼこがあるんですけれど、この折れ線グラフが大事で、ここが1.0ですね。比が1という、オメガ6とオメガ3の比が。ちょうどのその1を前後していますね。それでこれを主治医の先生に報告しましたら主治医の先生がびっくりして、え、こんな日本人いるの?と言われたぐらいで、厚労省の目標値が4なんですけれど、欧米人なんか軒並み10以上じゃないかと言われていて、もっと高い人もいっぱいいるということですね。だから、ヨーロッパなんかでは欧米ではもっとこういうことを研究すればいいんだけれど、食生活が全般的にリノール酸過剰になっているから、研究が適切にできないということじゃないかなということだと思います。
(注1)「薬でなおらない成人病」(黎明書房)
(編集者注)当サイトは特定の薬や治療法を推奨するものではありませんので、ここで片平氏が述べた食事療法についてもその有効性を保証したり、推奨したりするものではありません。
図2へのリンク

KT-12 プロフィール

診断時54歳、インタビュー時71歳(2016年4月)男性 関東地方在住 一度再燃したが薬物治療と食事療法により寛解(無症状、本人は「全治」と自己診断)が続いている。妻と娘夫婦とその子供二人の6人家族。
医療法人財団 健和会 臨床・社会薬学研究所所長 片平冽彦(インタビュー時の所属。保健学博士【東京大学大学院医学系研究科】

この人のプロフィールに戻る



 それでこの図(図1)がすごく大事なんですけれど、こちらがアルファリノレン酸の流れで、こちらがリノール酸の流れです。私たち人間が油を摂取した場合にこのリノール酸を体に入れますと酵素の働きでアラキドン酸になってその後ですね、アラキドン酸がやはり酵素の働きでこうしたものに体内で変わっていくということです。これがそのアラキドン酸カスケードと言っているのですが、カスケードというのは滝のことです、それで日光の華厳の滝みたいにまっすぐに落ちるのはフォールと言っていますが、茨城県の袋田の滝のように岩を伝って落ちる滝はカスケードといいます。ですからアラキドン酸カスケードと名付けられているんですけど。それで体内で流れが進んでつくられるのがこうしたプロスタグランジンとかトロンボキサンとかそれからロイコトリエンの4系列といっているんですけれど、そしてこうしたものが体内でたくさん作られると炎症を促進する。それから血栓を作る。それからロイコトリエンの系列はアレルギーとか炎症を促進するということがいろいろと研究でわかっています。
 一方アルファリノレン酸の流れはこの辺で似たような名前のものになるんですけれど、違うところはこちらが偶数系列に対してこちらは奇数系列ですね。こちらの流れはこういうふうに流れていって炎症とか血栓、アレルギーを促進しないということがわかっています。実はこの研究は「アラキドン酸カスケード」の研究ということで、研究した人はノーベル賞をもらっているくらいの研究なんですね。残念ながら日本人の研究ではなくてサムエルソンという外国の研究者の研究なんです。もしこれがその通りだとしますと、この図によって治療方法がわかる。どういう治療法かというと、こちらの方の流れを促進しないで、こちらを促進する。つまり、もととなるリノール酸を減らしてアルファリノレン酸、あとEPAとかなってくるわけですけれど、そちらの方を増やすと。それによってバランスが変わりますね。そういうことをすれば炎症とか血栓とかアレルギーが減らせるんじゃないかと。
(編集者注)当サイトは特定の薬や治療法を推奨するものではありませんので、ここで片平氏が述べた食事療法についてもその有効性を保証したり、推奨したりするものではありません。
図1へのリンク

KT-12 プロフィール

診断時54歳、インタビュー時71歳(2016年4月)男性 関東地方在住 一度再燃したが薬物治療と食事療法により寛解(無症状、本人は「全治」と自己診断)が続いている。妻と娘夫婦とその子供二人の6人家族。
医療法人財団 健和会 臨床・社会薬学研究所所長 片平冽彦(インタビュー時の所属。保健学博士【東京大学大学院医学系研究科】

この人のプロフィールに戻る



 9月にテレビでこの病気についてある先生がお話をするという情報を得まして、ちょうどそれが退院した後でしたが、それを一生懸命録画して見ました。そしたらですね、その先生のお話は油の取り方の問題が関係しているということだったんですね。それでそれを調べる必要があると考えまして、具体的にはここにあるような仮説が立てられるのではないかと考えたんです。それは炎症性腸疾患、このクローン病も含めてですが炎症性腸疾患のIBDの発生とか増悪とか再燃にリノール酸、これは化学構造で端から数えて6番目に二重結合がある、そういう化学構造なのでNマイナス6と言っていますが、あるいはオメガ6という言い方をしていますけれど、その系の脂肪酸です。これは植物油に多いですね。よく世間で動物油は悪くて植物油はいいという俗説があってそういうことを言われる方もおられるんですけれども、私は植物油に多いということを確認しています。そうしたものを摂取しますとこのIBD(への罹患・悪化)が促進される。それに対してアルファリノレン酸、Nマイナス3、オメガ3ですね、その系統の油、脂肪酸。これはシソ油だとか魚の油に多いのですが、そうしたものを摂取するとIBDに対しては抑制的に、抑えるように作用するということで、重要なのはこの摂取比ですね。オメガ6とオメガ3の摂取比、これが上昇すると、つまりオメガ6の方を多くとってオメガ3の方が少ないと上昇しますね、比が。そのことがIBDの発生、増悪、再燃の少なくとも一つの要因となっていると、こういう仮説をたてたんです。
 そこでですね、研究で最初にやるべきことは、それに関しての先行研究がどのようにこれまで行われてきたかということなんですね、文献を調べることなんです。それで文献を調べて見たら、いろんな面で、疫学的研究の面で統計的な比較ですね、また臨床的実験的な面でもそのことを示唆している研究が一定程度あるということが分かりました 。
(編集者注)当サイトは特定の薬や治療法を推奨するものではありませんので、ここで片平氏が述べた食事療法についてもその有効性を保証したり、推奨したりするものではありません。

KT10 プロフィール

診断時33歳、インタビュー時45歳(2015年6月)関東地方在住
3年間内科治療を続けたが寛解に至らず全摘手術を行ったが、術後の経過が悪く長い間苦しんだ。ようやく手術したのとは別の病院でメンタル面も含めて適切な処置をしてもらえて、今では普通の社会生活が送れるようになった。家族は母親と二人暮らし。

この人のプロフィールに戻る



 その主治医の先生が仰るには、内視鏡のカメラを入れるとわかるらしいんですけど、腸壁にどうしても残るものっていうのは口の中の唾液で溶けないものって仰るんですね。なので「溶けるか溶けないかを実験していくとわかるよ」って言われて、本当におもしろいぐらいそれが当たっていて、意外とステーキとか焼肉とかって溶けるから大丈夫なんですよ。でも、むしろヘルシーといわれている野菜とか、ある意味おそばとか、そういうのは絶対溶けないので腸壁に残っちゃうんですよね。だからそういうものは逆に食べないほうがいいんだっていうことがわかりました。でも病院に入っちゃうとどうしてもうどんが出てきたりするので、いいんだと思って食べがちなんですけど、意外とそれが腸閉塞を引き起こすんだ、ゼリーとかもそうだったんですけど、ダメなんだって。寒天系ですよね、そういうのも実はいけないっていうのがわかり、むしろそれだったらチョコレートとかチーズとかアイスクリームとか、そういうほうがいいんだよっていう。その先生のアドバイスから私もいろいろ食を実験、まあこの病気の人はみんなそうだと思うんですけど、本当にマニュアル通りではなくそれぞれ体感が違うので自分で実験していくと思うんですけど、私もその後はそうやって先生に言われて“溶ける・溶けない”をいつも考えて食べるようにしていたら本当に腸閉塞にはならないし、腸閉塞もすっかり治ってしまったし快適なので、「ああ、これは一理あるんだな」と思って、いい勉強になったなとは思います。

KT-8 プロフィール

診断時27歳、インタビュー時62歳(2012年9月23日)関東地方在住。
15年間の内科治療の後、全摘手術をしたが、その後何度も腸閉そくを起こし、最後は繋ぎ目のところが壊死をしてしまい、緊急手術もした。それでも大腸全摘手術をしたおかげで、公務員としての仕事を定年までまっとうすることができた。現在夫と子供二人の4人暮らし。

この人のプロフィールに戻る


Q:そうしますとその手術して全摘した後も、食事とかはかなり気をつかっておられるのですか。
 えーと、腸閉そくを起こすこと、その自体で気を使いました。好き嫌いはないんですけど、腸閉そくを起こす時はやっぱり、こう何て言うか消化の悪いもの、それを食べると腸閉そくを起こすっていうことが感覚的にわかってきたので、生野菜は絶対食べないとか、後、もやしとかそういうのも食べない、キノコも食べない、そういう感じで食べ物はやはり気を使っていました。ただ、手術した後はほとんど一切薬は飲んでいません。あの最初の手術もそうですし、今回の手術もそうですけども、手術後は薬も飲んでませんし、そういう意味ではステロイドを飲んでて苦しんでた10年近くの病気の闘いの頃を思うと非常に生活の質は上がったかなと思うんですけど。
Q:やっぱりこれを食べたら必ずなるみたいな。
 先入観的な感じでそう思い込んじゃってるもんですから、食べませんでしたね、やっぱり気を使って。勿論家族の調理は全部私がやっていますので、そういうものは全部使いますけども、取り除いて食べるって感じで、気を使っていました。

KT-6 プロフィール

診断時:10歳 インタビュー時:14歳 中学3年生(2012年4月)関東地方在住。内科治療を色々試したが、どれも効果がなく中学1年の時に大腸全摘の手術を行った。手術をして良かったと思っている。また、自分の体験を多くの同じ病気の人に知ってもらいたいとも思っている。今は、母と犬2匹と暮らしている。

この人のプロフィールに戻る


 給食の時にカレーライスがでて、みんながカレーライスをよそっているけど、私のお盆にはもう野菜スープが盛ってあって、ナンが置いてある。私、今日これなんだな、みんなおいしそうなカレーライス食べてるし、いいにおいがするからよけいカレーライスが食べたい。当時の大好物がカレーだったのがあって、ああ、隣カレーライスじゃん。机を合わせて食べるから隣のカレーライスのにおいがすごいにおうんですよね。ああ、カレーライス食べたいと思ってて。でも野菜スープで、思わず、においで、ああーと、ため息しか出なくて、その次、「いただきます」してから、食べ始めた時に、なんでお前は野菜スープなんだよ、なんでカレーじゃないんだよって、一人に聞かれて一つ説明する、また違う子が聞きに来てまた説明する、それの連鎖。もう面倒くさい。面倒くさい!っていうのがあって。食べれないし、匂いはする。で、何回も同じことを説明する。
 そんなルンルンで自由研究は発表したけど、そこまで私はそんときは病気を、病気のことなんて大嫌いなんですよね、どっか行っちまえって思ってたくらいだから、またその病気のことを説明しなきゃならない、そういうのも全部給食の時間にまざちゃって、もう給食なんて食べたくないって思いました。野菜スープじゃないこともあったんですけど、牛蒡サラダがキュウリのサラダになってて、そん時はみんながそんなに反応しなかったけど、私としてはわあーマヨネーズ一杯の牛蒡サラダが隣にあるなと思って、食べたいけど、でも私食べられないからキュウリのサラダがもうお盆の中に載っている。じゃ私これしか食べるものが、これを食べなきゃいけない。だって自分のなかで、あれ、たべれないものがあるっていう、他の人が食べている、目の前で食べているのを私は食べれない。いらいら、いやだ。その次に野菜スープ事件がくる。もう爆発しちゃいますよね。なんで食べられないの、なんで病気のせいで、こんなに食べられなくならなきゃいけないの。怒りです。

KT-2 プロフィール

診断時56歳、インタビュー時61歳(2012年2月)関東地方在住。2007年に潰瘍性大腸炎と診断され、内科治療のあと手術。術後しばらくは大変だったが、現在は大変元気で障害者の働く、ふれあい喫茶で店長をしている。息子と夫婦と3人暮らし。

この人のプロフィールに戻る


Q:食事は特に何の制限もなしですか。
 食事は何の制限もしていないですね。お酒も飲んでますし。ただやはり油ものとかお肉とか食べるとさらにトイレ近くなりますね、お酒も。でもどうせトイレ近いんだから、いいやって感じです。トイレの回数が多いのでノイローゼになった時もあるのですが、今はよく考えて便秘しなくていいわぐらいに、あの介護の仕事、老人介護とかやってると、皆さん歳とると便秘で悩んでいる方すごく多いんですよね。それを思えばそういう悩みは私はないからいいと思わなきゃっていう気もしますね。

KS-2 プロフィール

診断時:43歳 インタビュー時:51歳(2012年3月)関西地方在住。鉄鋼関係の溶接業を父から受け継ぎ、大企業も相手に職人技の溶接を一人で行い、家族6人を養っている。少年期より下痢など腸の調子が悪く、2004年に重症化、大学病院でようやく潰瘍性大腸炎の診断を受ける。主としてステロイドで治療を行い、昨年よりレミケードを使用、レミケードの効能も現在、減弱傾向にある。医師から手術や入院を勧められるが、仕事の関係から拒否している

この人のプロフィールに戻る



 初めは病院の先生というか栄養士の言うことを守っていて、退院してからも言われるようなものしか食べなかった。柔らかいものとか(食べて)、肉類は一切食べないし、キノコ類は食べないし、こんにゃくも食べないし。もう食べれないものばっかりで。主に食べてたんが、大好きだった蒸しパン。「蒸しパンはいいですよ。ただ、裏側にいろんな添加物があるから、添加物のない蒸しパンを食べて下さい」ということだったので、日々、蒸しパンとか食パンを食べたりとか、それもあまり添加物のないものを食べる。そういうのを1年間していたんですけども、
 それやってても結局腹痛とかなって、だんだんと普通に食べるようにして、しんどくても食べるようにしていたんですけども。家で食べるということは、子供がうちは女の子3人いるんですけども、やっぱり油っぽいものとか何でも食べさせてあげないといけないんで、僕の料理と2種類作らなければダメなんですよね。だから家内にもだいぶ食に関してはすごい苦労をかけたなと。だんだんと薄味になっていくようになって、子供らも家族全員がだんだん薄味で、あんまり油っぽいものが出なくなったと。2食作るんやったら1食でと。こちらもそれなりに今まで油っぽいものとか揚げ物とか拒否してたものがだんだん食べるようになっていったのと、そんなに先生の言うことを守らなくても自分の体調を維持できるやろうし、何を食べても悪くなるときは悪くなるんだという勝手な考えで、最初の頃はお酒も飲まなかったんだけども、だんだん飲むようになってきて、ストレス解消にまあいいだろうと。ひどくなるとやっぱり飲むことができないんで、それは自分自身で止めますけども、あまり悪くない時、本当は悪いのかもしれないけど、少量の下血ぐらいだったら飲んだりとかしています。

HK-1 プロフィール

診断時:29歳 インタビュー時:53歳(2012年11月)北海道地方在住。トイレが頻回になって出血もあり、痔かと思って病院に行ったら即入院となり、潰瘍性大腸炎(UC)と診断された。以来さまざまな内科治療を経験し、入院も通算7回を数えている。手術も考えたことがあるが、まだしていない。家族は妻と成人した子供が二人。

この人のプロフィールに戻る



Q:その薬以外の治療法っていうのは、何かされたことはありますか。
 うーん、あの、医師から説明された治療っていうのは、ま、基本が薬を飲みましょう、それから、食事の取り方ですね。わたしの通っていた病院は、あの、やっぱり食事、特に脂肪の摂取量が、あの、病気を悪化させる、まあ、要するに腸が脂肪を、えー、吸収しようとするために活動が大きくなるので、ここを抑えることが大事だという、栄養科と内科が、バランスが取れた考え方をしていました。なので、栄養士の指導を受けて、食事療法という形で、食事について、潰瘍性大腸炎では、あまり脂肪物、あの、刺激物を避ける、え、脂肪についても、30グラムまでとどめるというような勉強会を、何度かやっていただいて、家族もそれを聞いて、で、食事については注意するようなことがありました。
Q:あと、あの血球除去療法とかそういうのは、されたことありませんか。
 はい、あります。わたしの場合は、血球除去療法の中のGCAPというものでしたけれども、これは5回目ぐらいの入院の時に、一通り経験しましたし、7回目の直近の入院の時にも、わらにもすがる思いで、それもやりました。血管がちょっと出にくいというのと、体の中を、一回血を抜いて、また元に戻すというときに、戻ってくる血液が冷たいと、体が、非常におこりが起こったような震えが起こったりして、一度は、中止をしてもらったというようなこともあります。

HK-1 プロフィール

診断時:29歳 インタビュー時:53歳(2012年11月)北海道地方在住。トイレが頻回になって出血もあり、痔かと思って病院に行ったら即入院となり、潰瘍性大腸炎(UC)と診断された。以来さまざまな内科治療を経験し、入院も通算7回を数えている。手術も考えたことがあるが、まだしていない。家族は妻と成人した子供が二人。

この人のプロフィールに戻る



Q:何回も入院されたということなんですけれども、その間のですね、その、内科治療をずっと続けてこられたということですけれども、その内科治療の、ま、どんな薬を飲んだとかあるいは、どういう治療をされてこられたとか、その辺のところちょっとお話しいただけますか。
 はい。最初は基本ステロイドでした。ステロイドの、大量投与で、まず寛解状態に持っていっていただいた。その後は、当時はサラゾピリンだったと思います、サラゾピリンを処方されて飲んでいました。ステロイドはその時で切れてると思います。ただ、あの、甘く見ていた部分もあって、かなり薬はサボっていました。で、定期的にもらいに行く分で、だいぶ余っていったという記憶はあります。
 サラゾピリンの後に、ペンタサが出てきたときにペンタサに切り替えた。だから通院してるときは基本ペンタサでやっていました。何回目かの入院の時に入院期間が3カ月以上になって、絶食状態だったんですけれども、職場に復職しないと仕事のバランスが取れないということがあって、絶食状態のまま退院したことがあります。ま、その時にエレンタールを処方してもらって、えー、エレンタールのみですね、食事は食べずにエレンタール1日8包、で、経鼻でそのうち5包落とすと、という生活を3カ月ぐらいしました。その後、経鼻はなくなったんですけれども、基本はエレンタールを飲むと、朝食事で夜軽い食事、で、エレンタールを3包ないし4包飲むっていう生活を、年の単位で続けていました。
Q:あの、経鼻というのは、鼻から管を入れるということですか。
 そうですね。あの、鼻から管を入れて、モーターで機械的に送ってもらうということです。あの、とても寒い所なので、あの、夜落としていると、朝方、その鼻から通っていく管の冷たさで、何度も目が覚めてしまったり、結構それは、寝不足になったなという記憶があります。

CH-1 プロフィール

中国地方在住。長年にわたり内科治療を受けながら会社の仕事も続けている。ステロイドの副作用もでているが、まだ手術までには至っていない。患者会の仕事も精力的に行っている。家族構成は妻と二人暮らし。

この人のプロフィールに戻る



 いわゆる、あの、低残渣。低脂肪低残渣ですか。その辺が過度に徹底されていたというんですか。いわゆる、白いものばっかり。鶏肉のささみであったりとかですね、豆腐であったりとか、あの、ご飯。当然、肉系はあんまり良くないだとか。当然、お酒も大好きなんですけど、駄目ですよという風に言われたりなんかして。あの、かなり、当時を振り返ってみますと、こんな生活よくやってたなというぐらい徹底したような。ある程度、管理したようなですね、食生活をしていたような気がします。
 それで、そういった生活をして続けていく中でも、当然、まぁ、仕事をやっていかないといけない。それから、あと、あの、スポーツを私やっておりまして。あの、ゴルフとかテニス、ずっとやっておりましてですね。あの、まぁ、先生に聞いたんですけど、運動ってどうなんですか?って聞いたら、いや、それは問題ないよと。ただ、まぁ、下血してるような時、あの、体調が悪い時はやめてくださいねという風な言い方をされていたんで、あ、それならいいかということで、まぁ、テニスは、あの、毎週、土曜、日曜あたりですね。約半日ぐらいやったりとか。あと、ゴルフは、えー、職場の、付き合いで、月に1回、2、3ヶ月に1回でしょうかね。それぐらいやっておりました。