このサイトは潰瘍性大腸炎とクローン病の患者会の全国組織である、NPO法人IBDネットワークがNPO法人健康と病いの語りディペックスジャパンの許可を得て作成したものです
診断時60歳、インタビュー時89歳(2017年1月)男性 関東地方在住 発病から10年くらいは大変だったが、主治医の治療方針で、入院も手術もせず仕事を続けながら内科治療だけで寛解に至り、現在では完治したと思っている。現在は家内と二人暮らし。
Q.病気になられて患者会「かながわコロン」に入ってその後、会長を長くされたということなんですけれど、患者会の運営とかですねやってきて、よかったこと、大変だったこと、いろいろあると思うんですけれど、そのへんのお話をちょっと聞かせていただけますか。
A.私自身がそうだったんですけれど最初にかながわコロンに入会した当時は、当時の事務局の方に毎晩のように、毎回同じようなことを質問して助けられたんですけれど、私が会長になって自分の自宅が事務所替わりになって、専用の電話があったんですけれど、本当に毎晩のように同じ人から、またあくる日朝から夜からという繰り返しでいつも同じことを答えるような感じだったんですけれど、そういうことがありましたね。それから嫌になるようなこともありましたが、後で非常に感謝されて「助かりました」と言う事を言われてうれしかったというか、そういうことでしたね。
Q.そのほかには何かやっていて楽しかったとかそういうようなことってありますか。
A.結局人のお世話をするということは自分のためにもなるんで、よく役員同士でも話してたんですが、役員になると非常にメリットがあるなと、みんなの話が聞けるし、それに対して役員の中で突っ込んだ話ができるし、役員になるといいね、みたいな話をしたことがあります。
診断時28歳、インタビュー時51歳(2012年7月)九州地方在住。寛解と再燃を繰り返しながら、3回の入院を含め長年にわたる内科治療をしている。潰瘍性大腸炎そのものでは、発病したときは全大腸炎型でかなり重症だったが、その後はそれほど重症になったことはない。しかし合併症としての関節炎や免疫抑制剤の副作用としての歯周炎などがひどい。職業は獣医師。独身。
患者会っていうのはまあ、知ってたんですけど行くところはほとんどなかったんですけれど、今回まあ初めて見つかったんで入ったっていうのがきっかけですね。意外と昔は患者会っていうのはなかったんです。患者会に入ったのはやっぱり情報とかあとはさっきもありましたけど、特定疾患っていう制度があって、そういうのでの情報があって入ったのがきっかけですね。
Q:患者会に入られて、これは良かったなと思われたことはありますか。
患者会に入ってよかったなっていうのはみんなの顔を見られる、病人の顔を見られる、同じ病気の人の顔を見られるっていうことで、ただまあ一つは、どう言ったらいいのかわかんないけど表に出てこれない人もいるだろうなっていうのがあったので、だからまあ、出てこれてなんか言い合えるだけでもいいのかな。後やっぱりもう一つは、福祉的な問題でやっぱり声を上げないと変わって行かないだろうから、やっぱり数の力というか声を集めるっていうのも大事なんじゃないかなと思って、それで患者会に入ったというのもあります。
Q:たとえばどういったところで声を出していく必要があるって思われていますか。
難病って言うのは原因がわからなくて難しい病気だっていうことで、病気に対してですけど、特定疾患っていうと保健とか福祉的な問題があるから、今までの特定疾患の補助みたいのを切られるっていうのがありましたよね。そういう時に声をあげたからなんとか予算がついて助かってるっていうのがあると思うんで、だからそういう意味で少しでもマイナーな、メジャーでないマイナーなものの声を上げるという意味ではやっぱり数が必要だし、声を上げていくっていうのは大事なんじゃないかなっていうのはありますし、実際そういう活動もしているからいいんじゃないかなと思います。
診断時23歳、インタビュー時30歳(2015年12月)関東地方在住
専門医にかかり標準的治療は殆ど行ったが寛解に至らず、主治医からは手術も勧められているが、自分で納得ができず手術はしていない。最近始めた臨床試験で青黛という漢方が効いているようで現在は寛解を維持している。家族は父、母、祖母。
患者会は、私は潰瘍性大腸炎の患者会には最近になって行くようにはなったんですけども、20代のころはほとんど行っていませんでした。理由は、まず主治医の先生をすごく信頼していたので、治療法に関して何か疑問を持ったりだとか、何か誰かに聞きたいって思ったことがほんとにほとんどなくて、患者会にその点、その治療法に関して何か聞くという意味では患者会に行く必要性を感じなかったのと、あと20代のときにその患者会のホームページだとか写真を見たりすると、ちょっと大人の人が多くて、ちょっと行きづらいかなという印象を持っていました。
ただ、患者会で自分の気持ちを共有したりだとかすることは大切だなと今は思っていまして、私のすごく個人的な経験なんですが、病気は違うんですが、がん患者の方と一緒に月に1回、がんと就労という社会的課題、いろいろ問題になってると思うんですけども、がん患者の方の患者会に参加をさせていただいていました。で、もちろん生きることに向き合った上で、皆さん社会とのつながりという意味で仕事について考えている方たちなので、自分も仕事を頑張ろうとかということはもちろんですけども、病気になった自分の人生をどう全うしたらいいのかというのをその方たちと話していると、すごく考えさせられます。すごく病気でうまくいかないことはあるけども、それを受け止めていこうという、すごく意思をもらえる会でもあり、すごく気持ちを共有してくださる、分かってくれる方たちでもあります。そういう経験があるので、やっぱり患者会で普段の自分の気持ちを共有する場所だったりだとか、あとやっぱりただ病気になっただけではもったいないと思うので、もっと大きな意味で、病気になったこととどう向き合っていくかをみんなで考えたりできる場というのは、すごく大事だなというふうに思います?。
診断時19歳、インタビュー時35歳(2012年3月) 関東地方在住。大学に入学した頃発病して内科治療を続けながら司法試験に挑戦し、苦労しながらも弁護士になった。その後も再燃、寛解を繰り返し、薬もだんだん効かなくなってきた時手術も検討したが、最近はなんとか寛解状態が続いている。独身の一人暮らし。
患者会に入った経緯ですけども、これは何だったかな、多分インターネットかなんかで調べたんですよね。私もやっぱりドクターって言っても、こんなこと言っちゃなんですけど、しょせん自分では経験していませんから、そんなに親身になってというか、本当にわかってんのかなあ患者のことなんかという思いもありますし、家族とか友人にもそういう人いませんからね、しゃべっても、それはうちの家族はそれはすごく親身になってくれますけれど、やっぱり同じ境遇というか同じ悩みを持ってる人と話したいというのがありまして。
インターネットで調べたところ、そこで今の患者会が見つかって、さっそく電話でしたかね、メールしてみて、参加することになったんですね、そういう会合みたいのに。で、もうかれこれそれに参加して3年か4年、毎回行かせていただいて同じ境遇の方がねいらっしゃって、もう正直愚痴を言い合えるだけでも私は満足するぐらいなんですけど、ま願わくばいい情報がもらえて、というのがそれはあるんでしょうけど、最大のメリットは同じ方々と本当に悩みを打ち明けられて、愚痴を言いあえて、それでなんか心が軽くなるといいますかね、そういうあれが一番患者会に入れて参加できている一番の自分にとってメリットであると思っております。
診断時49歳、インタビュー時59歳。関東地方在住。
劇症型だったため発病から1年後に全摘手術。術後1年は大変だったがその後は順調。仕事は事務職のサラリーマン。女房と子供が二人。
そうですね。もう本当にその時は、人工肛門に戻してくれと言って先生に何度か泣きついたこともありましたね。先生は、もうちょっとすれば良くなるから、もうちょっと我慢しましょうというようなお話だったんですけれども。ただ、現実に、どうしても上手くいかないとか、それから、特に、つないだところが上手くつながらなくてそこからまた炎症を起こしたりとか、そういう場合には、また人工肛門に戻すという人も実際にはおられるらしいんですね。ただ、トイレの回数が多いから人工肛門に戻すというようなケースは今までなかったということで、もうちょっと我慢しなさいということは言われたんですが、じゃ、いつまで我慢すればいいの?っていうのがわからないわけですね。
その時、たまたま、患者会を紹介していただいて、今、そこの患者会の役員もさせていただいてるんですが。その時に、たまたま私と似たような症状の方がいて、私の3ヶ月ぐらい先をいってる方がいたんですね。その方を紹介してくださって。電話をして話を伺ったんですね。そしたら、私がこんな状況で、非常に、今、苦しいんですっていう話をしたら、その方が、もう、あなたがおっしゃることはとてもよくわかりますと。もう、まさに私も3ヶ月前、そういう状況でしたと。だけども、今は回数も徐々に減ってきて、もう苦しい状況を今、脱したところです。あなたもあともうちょっとですから、がんばれば確実に良くなりますという話をしてくださったんですね。それが非常に何て言うか。自分にとって勇気を与えてくれたと言うか。もうちょっと、もうちょっとだという気持ちにさせてくれましたね。
診断時:21歳 インタビュー時:31歳(2012年4月)関西地方在住。現在、常勤の高校教師。大腸の全摘手術経験者。下痢が半年間続いたため、病院受診、検査ですぐに潰瘍性大腸炎と診断される。ステロイドで回復するも、止めると再発し、これを繰り返す。将来も考えて、手術を決断。術後の経過は、他の手術経験者と比較してもかなり順調な経過をたどり、その後、希望であった教師の職に就く。
私は病気になってから割りとすぐに患者会に入りました。例えば、手術など治療方針を決めるときに患者会で得た情報が一番大きかったように思います。患者会には専門の医師が来ていただいていましたので、すごく的確なアドバイスがいただけましたし、同じような状況の人がたくさんいたので、患者会がなかったら、こんなに早く私は病気から解放されることはなかったなと思っています。インターネットなどでいろいろ情報を調べることもできたのですが、やはりいろんな情報が雑多な状態でありますので、どれを取ったらよいのかもわからないような状況でした。患者会では実際に会って、生の声が聴けますので、すごく説得力があったり、信憑性がある情報がたくさん聞けましたので、やはり直に会って患者同士で話すということは、すごくメリットがあることだなと思っています。
診断時:43歳 インタビュー時:54歳(2012年4月)関西地方在住。看護師。発症して11年、サラゾピリンやステロイドなど薬の副作用に悩まされることもあったが、経験から、ストレスや過労からくる再燃を避けるようにして、看護師の職も続けるように努力している。循環器系などの病気もあり、それと潰瘍性大腸炎とのコントロールに困るときもある。元気なときは、患者会活動など、人を支援する時間に使うようにしている。
私が潰瘍性大腸炎を発症した頃に比べて今はすごくネット社会なので、皆さん、ネットですごくいろんな情報を仕入れてきているのですけども、ネットもすべてよい情報とは限りません。やはり患者会に来られて、いろんな人の話とか、それから実際に同じ状況におられる方の心配や悩みを抱えてどうしようと思っている方がお互いに助け合える、支え合えるというのがあって、また専門の先生とか、それからなおかついわゆる社会支援と言われる、例えば社会労務士さんが来たりとか、心のケアというかたちで音楽をしていただいたりとか、栄養士さんに来ていただいたりとか、直接自分の身近なところでいろんなお話や交流ができて、ネットにはない、自分の療養生活や日常生活にプラスになる、自分たちで良くしていく会だと思います。また、患者になって初めてわかることで、少しでも自分たちの生活をよくしていこうということで、患者会が連携というか連帯というか、皆でまとまって行動しているということも非常によくわかりましたので、そういう意味で、自分たちの生活を少しでも良くしていこうと思ったら、やはり患者会に入って、患者会の活動を皆で支えあっていくのが大事なのじゃないかと思いました。
診断時:43歳 インタビュー時:54歳(2012年4月)関西地方在住。看護師。発症して11年、サラゾピリンやステロイドなど薬の副作用に悩まされることもあったが、経験から、ストレスや過労からくる再燃を避けるようにして、看護師の職も続けるように努力している。循環器系などの病気もあり、それと潰瘍性大腸炎とのコントロールに困るときもある。元気なときは、患者会活動など、人を支援する時間に使うようにしている。
患者会に行ったら、やはり自分の今の状況がどういう状況かわからなかったり、情報がどうしても乏しいので、情報を知りたい方、それから逆に長年患者会で活動されていて支援されている方、それから専門医の先生が熱心に外科の先生と内科の先生が交互に来てくれて、いわゆるセカンドオピニオンを無料で聞けるし、自分たちで助け合ったりできるので、すごく患者会はいいところだなと思いました。しんどかったけども、もっと早く来ていれば、一人でもがいていた時期がもっと早く救われたのではないかと思いました。なので、自分が少し落ちついて、患者会の中で逆に今までお世話になったことを皆さんに少しでも返せたらいいなと思って、お手伝いしようと思っているのですが、いまいちもうひとつできていないのがちょっと残念です。
診断時29歳、インタビュー時47歳(2012年3月)関西地方在住。長年にわたる内科治療のあと去年の年末初めて入院した。今は緩解状態だが、最悪の場合手術も視野に入れている。現在は専業主婦で、家族構成は夫と娘が一人
とりあえず患者会に行って同じ患者の人の話を聞いてみようというとこで、軽い気持ちで行ってみて、するとすごく私が今まで、すごく大げさに考えていたというか、こんな下痢ひどくて生きていけないわというか、どこにも出れないと思っていたことが、みなさん当たり前のように、「そんなん普通やよ、病気やから下痢するのは当たり前やし」という感じで言われて、あ、そうなんや、で、仕事を持っていらっしゃる方は仕方ないから紙おむつで出かけるよとか、普通に話されてるのを聞いて、別にこういう世界に入ると、私は普通なんだという感じですごく気持ちが楽になったということで、それでまあ色々専門医の先生も来て、ふだん診察室ではそんなに長い間色んなことを根掘り葉掘り聞けないんですけれども、時間も限られてますし、だけどそこではすごく普段疑問に思ってることだとかそういうことでも、外科の先生あと内科の先生もいらっしゃるのでその時その時に自分が疑問に感じたことを答えていただいたり、納得いくまで答えていただいたりということがあったので、すごく、なんて言うんでしょう、気持ちが楽になった。
診断時:29歳 インタビュー時:53歳(2012年11月)北海道地方在住。トイレが頻回になって出血もあり、痔かと思って病院に行ったら即入院となり、潰瘍性大腸炎(UC)と診断された。以来さまざまな内科治療を経験し、入院も通算7回を数えている。手術も考えたことがあるが、まだしていない。家族は妻と成人した子供が二人。
自分が患者会に、最初に求めたのは、えー、転勤に伴ってどこの病院に行ったらいいのか、誰に診てもらったらいいのかを知りたいということでした。それと、自分がこんなにつらい、ま、あまり回り道はしなかったと思ってますが、最初の病院の出会いは、やっぱり回り道だと思っていて、そういう回り道は、なるべく、あの、人にはさせたくない。なので、聞いてくる人がいたら答えてあげたい、それから知らない人には伝えてあげたい、そういう思いで、自分の知ってる経験や体験が、人に役に立つんならという思いで、この間、患者会に接してきているかなと思っています。なので、えー、いろんな人がいて、確かに調子がいい方もいる、で、手助けが要らない方は、あの、不必要と思うけれども、その方の経験が、今悩んでいる人やこれから悩むかもしれない人に、役に立つ部分があるんだなということを知っていただければと、そういう意味で患者会があるんだということを多くの人に知ってもらえればと思います。
中国地方在住。長年にわたり内科治療を受けながら会社の仕事も続けている。ステロイドの副作用もでているが、まだ手術までには至っていない。患者会の仕事も精力的に行っている。家族構成は妻と二人暮らし。
平成11年の9月頃だったと思いますけど、あの、広島市の主催で、潰瘍性大腸炎の講演会というのがありまして。あのー、ちょうど休日だったんでですね、その講演会に、ちょっと、私、参加しましたところ、そこで私が、潰瘍性大腸炎の患者会作ってみませんか?という提案をその場でさせていただきました。えーと、そしたら、ちょうど、渡りに船だったんでしょうね。あのー、その講演会を主催をされていた、あの、広島市の担当者の方が、実はこれを待っていたんだよということを言われまして。まぁ、その方と一緒に、患者会の、いわゆる、準備というんですか…いうのを始めて、翌年、平成12年の3月になりますけど、あの、広島県の潰瘍性大腸炎、「すこぶる快腸倶楽部」というのを結成いたしまして。
それで、結構、いわゆる、フェイストゥフェイスの活動。あの、患者同士…まぁ、当時ですね、あの、もうインターネットというのはかなり普及しておりましたんで、必要な情報というのはインターネットのほうで、まぁ、取れるんですけど、やはり、あの、どう言うんですか、あの、嘘…嘘と言うんですかね。ちょっと、正しくない情報というのもやはりある中で、あのー、どう言うんでしょう。悪徳商売と言うんですかね。あの、人の弱みにつけ込んで、全く効果のないものを売りつける。そういったものも結構ありましたんで、それを、まぁ、防ぐのは、やはり、あの、患者同士が、きちんと顔と顔を付き合わせて話をしていく。これがやはり原点だと、患者会の、まぁ、原点だと、今でも、まぁ、思っているんですけど。そういった活動を、ずっと、まぁ、心がけていくのが一つと、
あとは、あの、やはり、病気のことをきちんと理解しないといけないということで、あの、お医者さんによります講演会。これは、まぁ、内科の話もあるでしょうし、外科の話もあると思う。そういったものを持ったりとか、あとは食生活。管理栄養士さんに来ていただいて話をしていただく。そんな活動をずっと、えーと、今現在まで続けているところです。