食事
潰瘍性大腸炎の手術というのは大腸の全摘出になります。大腸は横行結腸、上行結腸、S字結腸、直腸とあり約1メートルくらいの長さがあります。潰瘍性大腸炎には全大腸型といってすべてに炎症がある場合もありますが、炎症のないきれいな部分が残っていることも多いです。しかし、そのきれいな部分を残して炎症のある部分のみを切除しても、かならずその残った部分に炎症が発生することが経験的にわかっています。したがって今では大腸を切除する場合は必ず全部を摘出するのが一般的です。以下の語りのなかでも部分切除をした方がいますが、残りの部分が再燃して結局3度目で全摘出したとのことです。
同じような状況にあっても手術を決断した人、手術をしないことを決断した人、それぞれの思いが語られています。
手術を決断するにはいくつかの理由がありますが、サラリーマンの場合は何度も再燃するたびに入院していては仕事を続けることができないということが大きいようでした。また、食事制限で食べたいものも食べられなかったり、便意を我慢できない状態が続くことに耐えられなかったりしたのが手術を決意した理由だという人もいました。
- 人工肛門になってもいいから悪いものは全部取ってほしいという感じで手術していただきました。 KT2C1-1
- 何度も入退院を繰り返すのはいやだということで手術を決意した。メリット、デメリットの説明も受けたが、人工肛門になってもいいという思いで手術を決めた。 KT2C1-2
- 3回目の手術では大腸の全摘と言われたので、頭の中が真っ白になり初めて手術への恐怖心を感じた。 QS2C1-1
- ステロイドや免疫調節剤も効かず、パルス療法とか、大腸の動脈に直接ステロイドを注入するなども試したが良くならず、外科手術を決断した。CH2C1-1
- 手術をしたことは間違っていなかったと思うが、もっと早くやればよかったとは思っていない。 CH2C1-2
- とにかく早く楽になりたいという思いで手術をした。 KT6C1-1
- 最初は絶対に手術はしないぞという思いだったが、最終的には自分で手術をすることを決めた。 KT6C1-2
- 2回目の手術は1回目で痛いのが分かっていたので、「このまま帰る」ってわがまま言っていた KT6C1-3
- もう大腸が悲鳴を上げている、と言われて手術したら治るんですかと聞いたら治りますといわれてので手術をした。 HR1C1-1
- 外科の方にそのまま転科して、数日後に大腸全摘手術を受けました。手術受けた時にはあっという間に自分の判断もなくて外科へ行って手術をしたような感じでした。 KT8C1-1
- 手術の後繋ぎ目が壊疽を起こして再手術になった。緊急手術だったので子供が判断してくれた KT8C1-2
- 手術に対する不安とか恐怖感はあったけれど、本来の自分に戻れると思って決断した。 KT9C1-1
- 手術を決断したのはステロイドを切りたかったこととバリバリ働きたかったこと KS4C1-1
- QOLの悪化、がん化の恐れ、親の高齢化、経済的不安などから手術を決断した。KT13C1-1
大腸を全摘出してしまうと当然元に戻すことはできません。ですから手術を決断するのは簡単なことではありません。なんとか内科治療で手術を回避できないかと考えるのは当然のことです。また、術後のQOLにも不安はあります。1日のトイレの回数はどれくらいなのか。便意は我慢できるのかなどなど。そうやって悩んでいる間に症状がどんどん悪くなって、やむを得ず手術というケースもあります。手術をするのかしないのか。するとしたらいつするのか。患者にとって最も悩ましい問題です。
- 重症化して、その時は緊急手術を覚悟して下さいと言われて入院して、相対的手術適用ですと言われた。 QS1B2C2
- 寛解になってくると医者も手術は勧めることができない。相対的適応では手術を決断するのはなかなか難しい。 CH1C2-1
- 内服ではこれがもう限度ということを言われたので、やっぱり手術しなけりゃ良くならないかと、かなり悩んでたけれどそのうちになんとなく良くなってしまった。 KT5C2-1
- 今一定期間入院して手術をする、そのてんびんをかけたときに、まだ、あの、てんびんかけるほど手術を早急にやろうということでもないなということです。HK1C2-1
- 手術をすればQOLがよくなるとか大腸がんのリスクがなくなるとか言われたが自分では納得できなかった。KT11C2-1
術式としては1回で終わらせるものと2回ないし3回で行う場合がありますが、手順としては、(1)大腸を全摘出、(2)Jパウチを作る、(3)小腸と肛門あるいはわずかに残した直腸と吻合する、というものです。これを全部一度で行うケースと(1)と(2)を同時にして一旦人工肛門を作り、3-5ヶ月後に(3)を行い、人工肛門を閉じるというケース、また、(1)~(3)をそれぞれ別の手術で行いその間2度の人口肛門を作るケースがあります。
- 手術が終わって目が覚めたら痛みがないので安心していたら翌日激痛が来た。でもその時の看護師さんの優しい対応に感激した。KT13C3-1
- 私の場合は、3回に分けて行う手術で、1回目は大腸を全摘して人工肛門を作った。 KT1C3-1
- 今回はもうきれいなところもあるけれど、大腸の全摘をやっとった方が再燃の危険性がないということで全摘手術をした QS2C3-1
- 1回目の手術の時は、開いてみてからの判断になりますといわれ、任せるしかないという気持ちでいた。 QS2C3-2
- もう大腸はボロボロですと言われて、身体が楽になるなら多少のリスクはしょうがないと、その手術にかけようと思い踏み切った HR1C3-1
- 2回目の手術の後腹膜炎を起こし緊急手術となったが、怖くて手術の直前まで同意書にサインしなかった。 HR1C3-4
- 手術をする場合は腹腔鏡を使ってやると言う説明を受けて気が楽になった KS1C3-1
- 手術は1回で終わり、しかも術後2週間で退院できた。術後の傷の痛みもほとんどなかった。 KS4C3-1
手術後の状態は人によって違いがありますが、術後1カ月から半年くらいは便の回数が多く、人によっては40回以上ということもあるようで、なかなか社会復帰できないケースもありますが、大体は半年くらいで5回~10回くらいに落ち着いてくるようです。勿論中には合併症を発症したり、手術の時の縫合不全で腹膜炎を起こすようなケースもあります。
しかし、今回のインタビューに答えて頂いた方々で、手術をした方は殆どが「手術をしたことに後悔はない」と言っています。
- 術後は肛門の奥が痛くて眠れない時もあった。トイレの回数は術後は20回くらいだったが徐々に減って今では5回くらい。KT13C4-1
- 1回目の手術の後しばらく人工肛門を付けたが、確かに不思議なものではあるが、非常に便利なものでもあった。 KT1C4-1
- 2回目の手術の後と3回目の手術の後に腸閉塞をおこして、これが結構苦しかった。 KT1C4-2
- 人口肛門を閉じる手術の後、便意はあるがうまく出なくて苦しい時期に、患者会から同病の人を紹介してもらって話を聞いたら、とても気持ちが楽になった。 KT1C4D5
- 排便のつらさを外に出ることで紛らわすことができた。精神的な部分が大きいと思う。今、やっと先生に感謝の言葉を述べることができるようになった。KT2C4-1
- 術後は大変だった。先生にこんな状態が続くようでしたら人口肛門にして下さいと訴えたほど。 KT2C4-2
- 人口肛門になかなか慣れなくてですね、漏れがあったり、かぶれたりとか、すごい痛みがあったりとか。 QS2C4-1
- 術後は便が水状態で頻繁にトイレに行かなければならず大変だったが徐々に良くなって半年でパートに戻った。 KT3C4-1
- 手術後は大腸がないので、便をする回数は普通の人より多いが、特に不便は感じないし、何よりなんでも食べられるのがメリットかな。CH2C4-1
- 2回目に人工肛門に戻してから脱水症状がひどくて家の階段も上がれないくらいだった。 CH2C4-2
- 腹膜炎を起こした時は肺にも水が溜まり、大変だった。CH2C4-3
- 術後便の回数は7回くらいだけど我慢できるようになったので特急にも乗れるようになった KT6C4-1
- 手術の傷跡はやっぱり気になる。特にみんなでお風呂に入る時は KT6C4-2
- 入院中、人工肛門を付けるのか、付けないのかで悩んでいた時、ふと自殺を考えて窓を開けようとしたが20センチしか開かずに、我に帰った HR1C4-1
- 人工肛門を閉じて退院した後はトイレに籠りきる生活でプライドが崩れ去った時期だった。 HR1C4-2
- 人工肛門をつけるってことは、当然初めての経験ですし、本当にこんなところから便が出てくるっていうのは最初はびっくり仰天でした。 KT8C4-2
- 術後ステロイドを止めてから鬱状態になって、さらに強い関節炎が出てしまった KT9C4-1
- 術後の便の回数は最初は1日20回くらいだったが、3年くで10回くらいになり、3年半後の今では7回くらいになった KT9C4-2
- 「手術をしたらなんでも食べられる」と言われていただ実際には3年間は入退院の繰り返しで大変な思いをした。 KT10C4-1
- 人工肛門の交換はごく自然にしてるつもりだけど、心の片隅には、「どうしてこんなものを付けて、生活しなくちゃいけないんだ」という気持ちはある。でもQOLは上がったので、差し引きゼロかな HR1C4-3
- 術後は食事制限はまったくないが脱水症状だけに気を付けている KS4C4-2
術後はみなさん便の回数が多くて大変な思いをしたが、時間と共に便の回数も落ち着いて、順調に回復した方が多かった。
- 術後は肛門の奥が痛くて眠れない時もあった。トイレの回数は術後は20回くらいだったが徐々に減って今では5回くらい。KT13C4-1
- 排便のつらさを外に出ることで紛らわすことができた。精神的な部分が大きいと思う。今、やっと先生に感謝の言葉を述べることができるようになった。KT2C4-1
- 術後は便が水状態で頻繁にトイレに行かなければならず大変だったが徐々に良くなって半年でパートに戻った。 KT3C4-1
- 手術後は大腸がないので、便をする回数は普通の人より多いが、特に不便は感じないし、何よりなんでも食べられるのがメリットかな。CH2C4-1
- 術後便の回数は7回くらいだけど我慢できるようになったので特急にも乗れるようになった KT6C4-1
- 手術の傷跡はやっぱり気になる。特にみんなでお風呂に入る時は KT6C4-2
- 人工肛門を閉じて退院した後はトイレに籠りきる生活でプライドが崩れ去った時期だった。 HR1C4-2
- 術後ステロイドを止めてから鬱状態になって、さらに強い関節炎が出てしまった KT9C4-1
- 術後の便の回数は最初は1日20回くらいだったが、3年くで10回くらいになり、3年半後の今では7回くらいになった KT9C4-2
- 「手術をしたらなんでも食べられる」と言われていただ実際には3年間は入退院の繰り返しで大変な思いをした。 KT10C4-1
- 術後は食事制限はまったくないが脱水症状だけに気を付けている KS4C4-2
2回以上に分けて手術を行う場合はその間人工肛門を付けることになります。その体験を語っていただきました。
- 1回目の手術の後しばらく人工肛門を付けたが、確かに不思議なものではあるが、非常に便利なものでもあった。 KT1C4-1
- 人口肛門を閉じる手術の後、便意はあるがうまく出なくて苦しい時期に、患者会から同病の人を紹介してもらって話を聞いたら、とても気持ちが楽になった。 KT1C4D5
- 術後は大変だった。先生にこんな状態が続くようでしたら人口肛門にして下さいと訴えたほど。 KT2C4-2
- 人口肛門になかなか慣れなくてですね、漏れがあったり、かぶれたりとか、すごい痛みがあったりとか。 QS2C4-1
- 人工肛門をつけるってことは、当然初めての経験ですし、本当にこんなところから便が出てくるっていうのは最初はびっくり仰天でした。 KT8C4-2
- 人工肛門の交換はごく自然にしてるつもりだけど、心の片隅には、「どうしてこんなものを付けて、生活しなくちゃいけないんだ」という気持ちはある。でもQOLは上がったので、差し引きゼロかな HR1C4-3
術後、腹膜炎を起こして緊急手術をしたり、腸閉塞をおこしたりと、順調に回復しなかったケースもあるようです。